産 地
北海道沙流郡平取町
特 徴
オヒョウという楡科の樹皮で織られたアイヌの織物で、やわらかく強靭。経糸の先を束ねて杭か柱に結びつけ、一端を腰にくくりつけて座ったまま原始的な戸外機で織っていく。すべて手作業で行う。
織りあげた布地は衽のない肘丈の銅服に仕立てあげ、まず袖口衿から裾廻り、後肩山廻りに無地または黒、茶、ねずみ、白、緑などの縦縞ぐらいに織ったものを、切伏(アップリケ)や刺繍で独特のアイヌの紋様をほどこしたもの。
用 途
昔は普段着、晴着、頭巾、鉢巻、帯、前掛け、手甲、脚半、刀掛け帯等に用いられたが、現在は観光用儀式のショーの際に着用されたり、土産物として敷物、壁掛け、帯、袋物等がつくられている。
変 遷
アイヌの文化においては、古くから編袋(サラニップ、テンキ)、背負縄(タラ)、蓆(キナ)などの織物の技術が発達していた。
織機が導入されると、北海道全域に自生するオヒョウがもっとも多く用いられ、厚司織が衣服の主流を占めるようになった。しかし、現在はそのオヒョウも少なくなり、入手が困難になってきているので、おもにシナノキの繊維が使用されている。