染と織地域別辞典

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久留米絣(くるめがすり)

産 地

福岡県久留米市ほか

特 徴

代表的な木綿絣で、最高級品。紺絣が主体。藍染の白と青の濃淡で表される絣模様が美しい。
素朴さとぬくもりを感じさせる織物で、柄は、幾何模様や絵絣のこまかいものが多い。
三大絣(備後絣、伊予絣、久留米絣)のひとつ。

用 途

尺地、作業着、小物類。

変 遷

江戸時代、藩主・有馬家は質素倹約を旨とし領民に絹物の着用を禁止していたため、この地方では綿織物がさかんに生産されていた。
久留米絣は、寛政一一(一七九九)年、井上伝という女性により織りだされた。当時十二、三歳だった伝は、着古した着物の色があせ白くまだらになっているのを見て、それを模様として織りだすことに工夫を重ね、成功した。
伝の織りだした新しい織物は「加寿利」と名づけられて市場で好評を得た。伝は、当時産業の少なかった久留米近郊の人々にその技術を教え、広めた。
その後、土地の人々による織機の改良や、絵絣、小絣の技術開発などにより、久留米地方一帯は、明治時代には久留米絣の一大産業地となった。また、久留米絣は、木綿絣の最高級品であるとの評判を得た。
昭和三二年に国の重要無形文化財の指定をうけているが、第二次大戦後から伝統的な手仕事による織物の数は減少し、化学染料染、機械織が主流となっている。
「本場久留米絣」には、手くびりによる絣糸を天然藍で染め、投杼の手織機で織るという伝統的な技術が活かされている。

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