産 地
石川県鹿島郡鹿西町、羽咋市
特 徴
細い麻糸を用いた手織の織物で、さらりとした肌触りと清涼感がある。絣の染色には櫛押捺染(糸をくくるかわりに櫛で糸を捺染する方法。丈夫な生地になる)、丸型捺染、板締め、型紙捺染の四種類の方法が用いられる。 上布とは、上等な麻織物の意味である。
用 途
夏の高級着尺地。
変 遷
能登上布は二千年の歴史をもつ麻織物といわれ、大和朝廷にも献上していたと伝えられている。
能登地方は古くから麻や桑の栽培がさかんで、平安時代初期には、能登の麻糸が調として納められていた。
織り継がれてきた麻布が能登上布として世に出るのは、江戸時代の文化一一(一八一四)年、河合与三右衛門が近江から職工を招き、土地の職人たちに近江の高度な技術を習得させてからである。その後、品質改良の成果もあり、越後縮にも劣らぬものが生産され、近江商人の手を経て市場に送られた。当時は能登縮、徳丸縮といった。
しかし、昭和三〇年以降、その需要は減少している。
平上布と縮上布があり、本絣(経緯絣)、緯総絣、紺絣、白絣などがつくられている。
また、男物、女物の別によって絣技法や色が使い分けられている。