染と織地域別辞典

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小千谷縮[越後上布](おぢやちぢみ)

産 地

新潟県小千谷市

特 徴

重要無形文化財指定の麻織物。越後縮ともいう。
苧麻を手績みした糸を使い、伝統的技法で織られる。すなわち、絣模様をつけるときには手くびりにより染め、居座機で織り、湯もみ、足踏みでしぼとりをし、雪晒しをするのである。 また、原料の苧麻には福島県昭和村で栽培されたものを用いる。

用 途

夏の着尺地、夏座布団地、夜具地。

変 遷

麻織物の歴史は古く、縄文時代には大麻で麻織物が織られていた。越後の麻織物も早くから文献に登場し、天平勝宝年間(七四九~七五七)に越後で織られた麻布が奈良朝廷に献納された記録が残っている。
木綿が一般化する以前、つまり鎌倉時代から室町時代にかけては庶民の衣服はふつう麻織物だった。江戸時代に木綿が大衆化すると、全国的な麻織物の需要は減退したが、麻に適した気候風土をもつ越後は、良質の麻織物「越後上布」の産地としてかえって発展した。
小千谷縮の始まりは、江戸時代初期の寛文一〇(一六七〇)年頃である。播州明石から小千谷に移住した堀次郎将俊が、越後上布に、明石縮の緯糸に強撚をかける技法をとり入れ、しぼのある麻縮を織りだしたのが、小千谷縮の始まりといわれている。
江戸時代、小千谷縮は年々品質を向上させ、諸大名をはじめ江戸、京、大阪の庶民の人気を得た。天明五(一七八五)年には小千谷縮および上布の生産量が三十万反を超えたというから、その人気のすごさがうかがえる。 その後、生活習慣等の変化にともない衰退し、現在では、伝統的な技法による小千谷縮および越後上布は無形文化財に指定され、技術の保護をうけている。
*上布 緯糸に並糸を用いる。
*縮 緯糸に強撚糸を用いる。
*明石縮 寛文年間(一六六一~一六七三)に兵庫県明石で発明された夏の高級着尺地。この技術が西陣を経て新潟県に伝わり、十日町明石の生産につながった。

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