染と織地域別辞典

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館山唐棧(たてやまとうざん)

産 地

千葉県館山市

特 徴

細手の木綿糸を天然の草木で染めた縞柄模様の織物。
砧打ちをするので絹織物のような風合いと光沢をもっている。柄も粋で飽きのこないものが多い。

用 途

着尺地、羽尺地、袴地。

変 遷

インドのセント・トーマスから輸入されたので初めはサントメ(棧留)といわれたが、いつしか唐棧留と呼ぶようになった。
江戸中期には江戸を中心として、国産の木綿を用いた異国ふうの木綿織物が愛好された。これらの織物は階級、男女の別なく愛好され、各地で生産されたが、なかでも川越唐棧は名高かった。
館山の唐棧は、唐棧織の技法を学んだ斎藤茂助が明治二三年に館山市に移住し唐棧一筋に生きてから名をあげた。
現在では、唐棧の伝統技法を伝承しているのは、この斎藤家だけとなっている。

染色法

染料には正藍、楊梅、椎の木の樹皮、五倍子、矢車附子、ゲレップなどを用いて、藍、茶、ねずみ、黄、水、赤、赤茶、黒味の赤などに染める。ただし、赤にだけは化学染料を用いる。
糸染後は天日でよく干し、機織してからぬるま湯に三十分ほど漬けて灰汁を抜く。
その後、石の上に敷いた紙の上に布をたたんで置き、木槌でたたいて砧打ちを行う。砧打ちを終えたら、湯通しして仕上げる。

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