染と織地域別辞典

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伊予絣(いよがすり)

産 地

愛媛県松山市

特 徴

先染平織の、紺絣木綿織物。
三大綿絣(久留米絣、備後絣、伊予絣)のひとつで、久留米絣よりもやや大衆的。

用 途

着尺地、夜具地、暖簾、小物袋、テーブルクロス、エプロンなど。

変 遷

江戸時代の享和年間(一八〇一~一八〇四)に鍵谷カナにより創出された織物。当時は今出鹿摺と呼ばれた。
明治十年代から三十年代後半にかけ伊予絣の名で普及、大正時代には全国の絣織物の半分を占める盛況ぶりだった。昭和八年に動力織機の導入により生産量の増加を図ったが、第二次大戦中の綿花の制限などで衰退し、昭和二〇年に戦火をうけて全滅した。
昭和二四年に復興されると、低価格のため人気を得たが、三十年代に入り急激に衰退し、現在は昔の面影はない。
なお、鍵谷カナがこの絣を思いついたきっかけについては、次の三つの説がある。
(1)金毘羅参詣中に久留米絣を着た人を見かけて、考案した。
(2)わら屋根のふき替え中に押し竹の縄目の縞に気がつき、それをヒントに考案した。
(3)四国遍路の際、霊場に詣でるたびに糸束を他の糸でくくっておいたら、そこが白く残った。そのことからヒントを得て考案した。
以上のうち、もっとも有力なのは(2)の説である。

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